獣の奏者エリンのコメント

1: by ruu on 4805日前

DVDで見ました。

原作から見て、アニメに流れたのですが、
正直言うと、私も神さんの意見に同意です。

多分、これは子供向けに作ってはいけなかったと思う。
作者である上橋さん自身、恐らく気づいていないのだと思うけど、
主人公のエリンは、冷静に考えれば、誰よりも恐ろしい行動をしている。
彼女は、自分の事しか考えていない。
極端に言えば、テロリストに近い。

この作品の最大の失敗は(アニメでは無く原作の批判になるが)
神さんの意見と同く、エリンに対して、相対化する人物なりを
置かなかったことだと思う。
導き手に当たるはずの師エサルでさえも、エリンに対しては絶対服従。
かろうじて、霧の民(アーリョ)がその立場に近いが、
あの描き方だと、エリンに対抗する、バカな人たちにしか見えない。
というか、彼らが悪者に見える。
そして、エリンは「特別」であり、絶対的な「正義」。

神さんの言う通り、この作品の意図が、「洗脳」することであったり、
また若しくは上橋氏が、「まちがっていると分っていても、それでも
自分の意思を貫いてしまう、有る意味狂った人間」を描きたかったのであれば
まだ理解できるが、そうではないことは一目瞭然である。

この作品に対する、原作やDVDの感想を読んでいると、圧倒的に
高評価が多いが、逆にそれが怖い。
確かに「面白い」作品ではあるけど、(確かに上橋氏の作品は、
「読ませる力」がある)その底流にあるのは、
あまりにも独善的なエリンを誰も批判しない、有る意味エリンと云う
独裁者を抱いた世界だと思う。
表面的な「感動」にだけ目を向ける人が多いということなのだろうか。

繰り返すが、このアニメは子供向けに作るべきではなかった。
それは、上橋氏が言うような「子供むけに書いた作品ではない」という
意味では無く、エリンという絶対神を抱いてしまった世界を、
まだ判断力の乏しい子供に見せたくはない、という意味である。

あと、演出が変に間延びしていたのと、いらないオリジナルキャラクターが
多かったのと、音楽がもうやめてくれという感じだったので
(オープニングやエンディングは良かったが、ワジャクの歌とか、ようこそ
カザルムとか、へんなメロドラマの挿入曲みたいのとか恥ずかしかった)、
同じIGでも『精霊の守り人』は良かったので、大分ちがうんだなあと思った。



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