DVDで見ました。
原作から見て、アニメに流れたのですが、
正直言うと、私も神さんの意見に同意です。
多分、これは子供向けに作ってはいけなかったと思う。
作者である上橋さん自身、恐らく気づいていないのだと思うけど、
主人公のエリンは、冷静に考えれば、誰よりも恐ろしい行動をしている。
彼女は、自分の事しか考えていない。
極端に言えば、テロリストに近い。
この作品の最大の失敗は(アニメでは無く原作の批判になるが)
神さんの意見と同く、エリンに対して、相対化する人物なりを
置かなかったことだと思う。
導き手に当たるはずの師エサルでさえも、エリンに対しては絶対服従。
かろうじて、霧の民(アーリョ)がその立場に近いが、
あの描き方だと、エリンに対抗する、バカな人たちにしか見えない。
というか、彼らが悪者に見える。
そして、エリンは「特別」であり、絶対的な「正義」。
神さんの言う通り、この作品の意図が、「洗脳」することであったり、
また若しくは上橋氏が、「まちがっていると分っていても、それでも
自分の意思を貫いてしまう、有る意味狂った人間」を描きたかったのであれば
まだ理解できるが、そうではないことは一目瞭然である。
この作品に対する、原作やDVDの感想を読んでいると、圧倒的に
高評価が多いが、逆にそれが怖い。
確かに「面白い」作品ではあるけど、(確かに上橋氏の作品は、
「読ませる力」がある)その底流にあるのは、
あまりにも独善的なエリンを誰も批判しない、有る意味エリンと云う
独裁者を抱いた世界だと思う。
表面的な「感動」にだけ目を向ける人が多いということなのだろうか。
繰り返すが、このアニメは子供向けに作るべきではなかった。
それは、上橋氏が言うような「子供むけに書いた作品ではない」という
意味では無く、エリンという絶対神を抱いてしまった世界を、
まだ判断力の乏しい子供に見せたくはない、という意味である。
あと、演出が変に間延びしていたのと、いらないオリジナルキャラクターが
多かったのと、音楽がもうやめてくれという感じだったので
(オープニングやエンディングは良かったが、ワジャクの歌とか、ようこそ
カザルムとか、へんなメロドラマの挿入曲みたいのとか恥ずかしかった)、
同じIGでも『精霊の守り人』は良かったので、大分ちがうんだなあと思った。