点 数 : 作/10 ス/10 音/9
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走れメロスに捧ぐ - 2010/05/15
名の通り、これは『走れメロス』につけた評価です(他のは見逃してしまった…)。
走れメロスを見たのも殆ど偶然で、『青い文学シリーズ』だと言うことも後半の冒頭(堺雅人の前説)を見て漸く解った位です。
さて、批評部分はネタバレが多いのでご注意下さい。
作画
『魍魎の匣』のスタッフが集結して作った作品(走れメロスのみ)だそうで、タイトルが出てきても暫くは『魍魎の匣』の外伝か何かかと思うくらい(若干には違う)そのまんまな作画でした。
ある意味手抜きなんじゃ…とも思いましたが、あれだけの安定感と動きを見せつけられては文句の言いようが無い。メロスとディオニス・山賊の戦闘、走り出す高田、舞う原稿等……ひとつひとつに実にスタッフの愛が感じられます。
ストーリー
原作とは大きく違い、殆どオリジナルストーリーです。舞台は昭和日本。根暗な劇作家(?)の高田が、ひょんな事から走れメロスを書くことになったのだが、筆を進める内にかつての親友・城島との学生時代を思い出し始め……と掴みはこんな感じでしょうか。
この話の巧い所は、主人公である高田が『ディオニス』であり『セリヌンティウス』であり『メロス』でもある所です。
多分原作を愛している人は、何故こんな改変をしたんだと怒るでしょうが、『走れメロス』はその他の青い文学シリーズとは違い小学生の教科書に乗る程ポピュラーな作品で、文学に傾倒していなくても大抵の人はストーリーを把握しています。
『走れメロス』を初めて見る人にも原作を理解出来るように、なおかつ、充分原作を読みふけっている人には目新しさを感じて貰える改変だと思います。作品の根っこ(テーマ)は一緒です。
ドラマ性の高さと改変への勇気に10点。
音楽
ほぼ『魍魎の匣』のBGM。時折あったオリジナル楽曲は手放しに素晴らしい。『魍魎の匣』のBGMも素晴らしいのですが、これがかえって走れメロスなのに別のアニメを見ている様な気分にさせてしまうのは残念。
総評
一見の価値は絶対にあります。
『魍魎の匣』を知ってるとちょっとお得感とデジャビュに襲われます。
『走れメロス』を読み飽きた経験があるなら、是非お勧めします。とても新鮮な気持ちで見ることが出来るでしょう。