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「レミゼ」のジョン・ケアードが描く、新「足ながおじさん」

2012年8月22日

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写真:「ダディ・ロング・レッグズ〜足ながおじさんより〜」制作発表より=写真提供・東宝演劇部拡大「ダディ・ロング・レッグズ〜足ながおじさんより〜」制作発表より=写真提供・東宝演劇部

 ジーン・ウェブスターによるアメリカ文学の傑作「足ながおじさん」をもとにしたミュージカル・ロマンス「ダディ・ロング・レッグズ〜足ながおじさんより〜」が9月2日より日本初演を果たす。先立って、都内にて制作発表会見が行われ、主演の井上芳雄、坂本真綾、脚本・演出家のジョン・ケアード、本公演に協力している「あしなが育英会」の玉井義臣会長が出席した。(フリーライター・岩橋朝美)

 ある日、見知らぬ男性から「月に一度手紙を書く」という条件で大学進学を保証するという申し出を受けた孤児の少女ジルーシャと、彼女に正体を隠し援助をする若き慈善家ジャーヴィスの恋を描いた名著「足ながおじさん」。原作本の発行からちょうど100年を迎える2012年、ふたり芝居によるミュージカルという独創的なスタイルで舞台に登場する。

 登場人物は井上芳雄演じるジャーヴィスと坂本真綾演じるジルーシャのみとあって、「鬼のような量の台詞と歌詞を覚えているところで、無駄話をしている暇がないくらい必死」という井上は、同時に「ジルーシャは主に学校で手紙を書いていて、僕はニューヨークの書斎でその手紙を読んでいる、それが同時進行していくというおもしろい構成になっています。劇中ではほとんど真綾さんを見たり、目を合わせることができないので、耳で聞いてお互いを感じて演じるしかありませんが、もしかしたら目で見られる状況よりもたくさんのことを感じられるかもしれません」と斬新な演出のふたり芝居に手ごたえを感じている様子。

 一方、ジルーシャ役の坂本は「子どもの頃に読んだので児童文学というイメージが強かったのですが、改めて原作を読み直したところ、この物語はラブストーリーであり、大人になろうとしている女性が社会に進出し、自立心を芽生えさせていく成長の物語でもあるということがわかって、以前読んだときよりも一層ジルーシャに共感することができました。また、原作には描かれないジャーヴィスの気持ちや彼から見たジルーシャの物語を追えるのが凄く新しいなと思います」と語った。

 「レ・ミゼラブル」「ベガーズ・オペラ」などを生み出したジョン・ケアードは、日本で「足ながおじさん」の原作に出会い、2009年よりアメリカで上演を続けている。「これはジルーシャの教育の物語ですが、同時にジャーヴィスの教育の物語でもあります。何も持っていない女の子と、何もかも持っている男性の立場がどんどん入れ替わっていきます」と本作の魅力を述べた。ふたりをキャスティングした理由については「頭のよさ」を挙げ、それについて井上が「足の長さは?」と聞き返し笑いをとる場面も。

 また当日は、原作から着想を得て遺児の進学支援を50年にわたり行っている「あしなが育英会」のこれまでの歩みが玉井会長によって紹介され、井上や坂本は改めて作品について思いを深めていた。原作の魅力を生かしながら、舞台ならではの仕掛けを取り入れた興味深い作品となりそうだ。

【制作発表会見と囲み取材の全文はこちら】

◆ミュージカル・ロマンス「ダディ・ロング・レッグズ〜足ながおじさんより〜」
《東京公演》2012年9月2日(日)〜19日(水) シアタークリエ
《新潟公演》2012年9月22日(土) りゅーとぴあ(新潟市民芸術文化会館)劇場
《大分公演》2012年9月26日(水) iichico総合文化センター iichicoグランシアタ
《大阪公演》2012年9月28日(金)〜29日(土) 森ノ宮ピロティホール
《福岡公演》2012年10月3日(水) 福岡市民会館
⇒詳しくは、ミュージカル「ダディ・ロング・レッグズ〜足ながおじさんより〜」公式サイトへ http://www.tohostage.com/ashinaga/

《筆者プロフィール》岩橋朝美 フリーエディター、フリーライター。WEBおよび出版を中心に、企画、編集、取材、執筆を行う。エンタテインメント、女性、仕事など、幅広いテーマで活動。


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